『もう一度、あの丘で…つくみ幻想…』
第10回ノンプロフィット演劇祭in芦屋へ招待され、やってきました、芦屋市民センター『ルナ・ホール』へ!!
惜しくも春秋座(近畿大会優秀校公演)は逃したものの、兵庫県の最優秀校としての上演です。もちろん、上演するのは、コンクール上演作品である『もう一 度、あの丘で』ですが、近畿大会までとは少し、本が違います。新たな登場人物として少女の友人である女高生(洲高演劇部)が登場。また、少女・女高生・男 は、大分県津久見の人間であるので、台詞が津久見弁へと変更になりました。
このルナホール、実は今まで実業演劇部が演じた数々のホールとは違った構造になっています。
左の写真のようにホリゾント幕が弧を描いていたり、舞台前に迫り(今回の上演では使えませんが)があり、客席がその迫りを囲むように配置されています。 わかりやすく言うと、迫りを使った状態の舞台は、45度傾けた正方形『◆』になるわけです。どうやら、演劇が目的というよりも、音楽が目的のホールなんだ ろうなぁ、という印象を受けます。でも、自由に使えたら演劇でも面白そうだなぁ……とも(笑)。
キャパは2階席(!)を合わせて626席。
でも、奥に広いわけではなく、舞台から扇状に広がっているので、声は十分届きます。
神戸女学院の『夏芙蓉』が終わってから二校目の上演。同じく県大会で最優秀賞を獲得した加古川西は参加していないので、二本目にして最終上演です。
近畿大会から3ヶ月。
大きくブランクがあったせいか、それとも脚本補正後の練習期間が短かったのか、テンポが良くありません。神戸女学院も、同じような感じだったので、やはり、同じテンションを維持し続けるのは難しいのでしょう。
この作品、元をたどれば夏休みに竹本先生が書き下ろしていた、フェリーの中の話から始まっています。津久見に向かうフェリーだったのか、逆だったのか、それはあやふやで覚えていませんが。
公演毎に本が少しずつ変わるのは毎度のことですが、今回ほど苦労した作品はなかったように思います。最初に練習が始まってから、もう、7ヶ月も経つのです。
各大会での審査員の先生方の批評を(珍しく)聞き入れ、ようやくここまで来た、という感じ。もう一度、各個のテンションを上げることができていたならば、一番良い出来になっていたハズ、という印象を受けました。
この長かった『もう一度、あの丘で』。
振り返れば、演劇として完成度が高かったのは、県大会での上演でした。
(執筆日不明)
もう一度、あの丘で…つくみ幻想…
CAST
- 母親(高野明美)
- 池本光恵
- 2年
- 娘 (高野綾子)
- 川浦亜依
- 3年
- 少女(江藤 薫)
- 石田莉乃
- 2年
- 男 (山口さとし)
- 武田義之
- 3年
- 女高生
- 久保聡美
- 2年洲
STAFF
- 作・演出
- 竹本 仰
- 顧問
- 舞台監督
- 井高利紗
- 3年
- 照明
- 谷口文望
- 2年助
- 音響
- 鶴岡雅子
- 2年助
- 助:助っ人
- 洲:洲本高校
顧問のことば~作者として~
昼さがりの停車場で、土砂降りの雨の中、激しい喧嘩をしていて、ふと気づくと、雲のすきまから一条の陽の光が落ちて来て、ああもう帰るころだなあと、お互い何ごともなかったかのように別れてゆく。
そんな話を一つ書きたいものだなあという望みがあった。自分の過去に、そういう種の原体験みたいなものがあって、それが影を落としているのかなと考えてみる。たしかに九州の私の育った所は、空がいつも暗く閉ざされた所で、時たま晴れあがるとこれまた強烈な陽光が突き刺してきたのを覚えている。その暗さがいやで、私はそこから逃げるためにラジオの電波や汽車の窓から触れた風景などを手がかりに、今の場所まで流れて来た。
しかし、と思う。高校生のための台本を書きながら、いつしかあれ程いやがった暗い所に帰りたがっている自分を発見した。ひどい喧嘩をして、土砂降りのように泣きたい、自分の青春時代にもう一度ぶつかって……と思う自分がいる。そして、部員たちが演じつつ私の故郷の一端にどこかで触れているのを、不思議な気持ちで見守っている。
(公演パンフより)
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