洲本実業高校演劇部の頁

　“Simple is Best”

　３年間照明をして、この作品に敵うものはなかった。シンプルきわまりない照明。だけど、それは十分に役者を引き立たせていた。

　この作品がなければ、私は演劇部に入らなかったし、照明をやろうとも思わなかった。舞台で観る（部室での練習とは違う）３人の役者に驚かされ、その空間に魅了されていた。

　“練習と舞台は違うんだ。”という事に気づいた瞬間。

　この『はじまり、はじまり……』、審査員には良くない評価の作品でした。「あんなのは演劇じゃない」とか何とか。確かに他のその後つくった作品たちと比べても、これは異質の作品だと思います。けれど、当時の県大会や阪神支部で上演できていたならば、割と良い評価をもらえたのでは？という思いもあります。

　その時はそんなに思わなかったけど──
　県大会に行けなくて、残念だった作品。

　個人的には、この日観たお芝居の中で一番良かったと思ってます。ただちょっと、審査員の好みに合わなかっただけで。

　３つの45cm立方体、「演劇とは」の看板（の隅っこに描かれた“電気リス”）、特大のキャンディーなどなど。そんな道具類を含めても、３人がつくった舞台。

　他の作品は再演できるかも知れないけど、これだけは、再演できないな、と思う。あの頃の、高一の、あの３人がいなきゃ無理。そういう純粋さとか、勢いとか、想いとか──当時の３人が詰まった舞台。私はそれをホントにちょっとだけお手伝いしただけ。

　ここから演劇部の「はじまり、はじまり……」。