『時間旅行者たち』県大会

2011年11月20日(日)@兵庫県立尼崎青少年創造劇場ピッコロシアター 大ホール
県バージョンの薄暗い幕開き

 “最優秀賞を獲り逃したっ!?”

 今年の県大会は阪神支部主催、舞台はピッコロシアターの大ホールです。
 支部大会から2週間でどこまで出来るか?それが鍵だったわけですが、実際はほとんど練習が出来ませんでした。
 それも支部大会以降、お芝居が突っ走るようになってしまい、破綻する可能性すら出てきた。私が出来たことといえば、台詞と間の重要性について釘を刺すことくらいでした。走りすぎないために。

 実は、支部大会バージョンと県大会バージョンでは大きく違います。
 選曲を大幅に変更し、幕開きも薄暗い照明から始めることにしました。

 幕開き、ダークオープン。

 ほぼ完全暗転状態で幕が開き、効果音のような音楽が入る。照明が薄暗く入ってきて、そこには微かに部屋の存在と一人の少女。

 そして、間。

 観客を引き込むためにはどうしたらいいか、そう考えた幕開きです。

「三人にとって良い時間」

 阪神支部主催大会の怖さでもあるのですが、こちらの想定外の部分で笑いが起こる。淡路支部の大会ではほぼ観客席の反応はありませんから、演じる役者にとっても初めての経験。
 演じる側の一瞬の戸惑い。なんとか乗りきってくれと言うこちらの想い。

 しかし、声が小さい。
 もっと声を出すように言っておくべきだったか?と後悔。時折、聞こえない台詞もあったり。。。
 最初のドン上げのタイミングもそうでしたが、小さなミスは多発。台詞詰まりは当たり前。支部大会ほどではないものの飛ばしてしまうシーンもあり。

 段々と静かになっていく客席。
 願うことは一つだけ。どうにか最後まで行ってくれ、と。

 いつもよりゆっくりに感じた舞台は、それでも何か、いつもより引き込む力があったように思います。その要因がなんだったのか?
 これはやってはいけない59分台のタイムを出してしまうか?と思ったものの、実際は56分ぐらいだったのでしょうか。すっかり時計を見忘れていました。
 次に時計を見たときは既に幕間交流が始まっており、しばらく時間が経過した頃でした。時計は13時59分。

 “あぁ、この出来だと想定内のお話しか聞けないかな?”と少し落胆モードで講評へ。

夕日が差してきた部室

 今年の専門審査員は竹内銃一郎さんと角ひろみさんのお二人。竹内さんは何度か県大会の審査員を務められており、辛口です。
 「淡路島だから仕方ないよね」みたいな事を言われることを覚悟しつつ──。

 バッタバッタと切られていく上演校。
 そして巡ってきたのはうちの番。先にマイクを握ったのは竹内さんでした。

 「15本観終わって唯一泣いた」

 “へ?”とあまりにも予想外の言葉から入った講評。
 「現代演劇の良い位置につけている高度なお芝居」と有り難い評価を頂きました。15作品中、11作品の講評は聞いていないのだけど、かなりの高評価であったろうと推測できます。
 そこまで厳密に「計算」して書いたわけではないけれど、私の挑戦は演劇として成立したようです。

夕日が沈んで……

 これはちょっとヤバイ雰囲気。
 そう、2004年のアクアホールで最優秀を獲ったときのことが過ぎります。

 でも。

 結果は、最優秀でも、優秀でもなく、優良賞。
 “なんやねんそれ”みたいな感じ。
 けれども、竹内さんには、うちが最優秀だったのだろうと思います。総評で話されたお話からも、何となくそんなことが伺えました。
 だから、最優秀賞と紙一重の優良賞
 審査は専門審査員2名と各支部から選出された顧問審査員7名で行われるので、講評を行う専門審査員のお話とは乖離することがあるんですね。

 本当に近畿大会なんて眼中になかったものですから、県大会で最優秀に手が届くところまでいけると思わなかったものですから、部員たちも結構落胆で後悔モードです。(あれだけ褒めておいて何の賞も無しというのはね)
 こんなことなら、もっと真面目に練習をやっておけば良かったと。

 「後悔先に立たずってやつ?」という佐々木の台詞が聞こえてきそうです。
 支部大会とはかなり違ったこの県大会バージョン、ビデオに撮っておけば良かったなぁ……。

時間旅行者たち

  • CAST
    • 佐々木 淳志
    • 大浜直希
    • 3年
    • 青柳 真知子
    • 藤代明香
    • 2年
    • 永田 美希
    • 名田みず穂
    • 1年
  • STAFF
    • 鈴木 遊
    • OB
    • 演出
    • 大浜直希
    • 舞台監督
    • 宮下貴江
    • 2年
    • 照明
    • 松下徹哉
    • 1年
    • 音響
    • 加藤博也
    • 2年
  • :助っ人
作者のことば

 『夢』『ロマン』『冒険心』──。
 2010年11月7日(日)、西崎義展プロデューサーが不慮の事故により旅立たれました。昨年の淡路支部合同発表会最中の出来事でした。
 西崎さんが作品の中で私たちに教えてくれた数多くのこと。中でもとりわけ《明日への希望》を描きたい、継承していきたいと思いました。

 物語は2011年9月上旬、とある高校のSF研究会部室からはじまります。

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