『flower』支部大会

2015年11月1日(日)@市民交流センター ビバホール

 今回は1年生による創作台本。

 メンバーも1年生が中心で、新生演劇部の第一歩と言うべきだろうか。

 台本を書くことは難しい。

 台本を「書き出すこと」はそんなに難しくない。“書いてみようか?”なんて軽い気持ちがあれば、書き出すことは出来る。しかし、「書き終えること」は意外と難しい。だから、どんな形であれ台本を書き切った者は、凄い。

 けれど、その台本が演劇に適しているか?は別の話。演劇の台本は、ちゃんと舞台を意識して書かないといけない。

 どんなに優れた映像作品の台本だったとしても、それはそのままでは演劇に向かない。

 恐ろしいのは、(演劇として)良い台本かどうかは、その作品の出来にほぼ直結してしまうこと。台本選びが重要なのには、ちゃんと理由がある。

 この『flower』という作品は、バスケ部の部活と男女の恋愛を軸に描いている。その登場人物たちが集う場所が、flowerという名のカフェなのだ。

 劇中、体育館や帰り道、カフェ、試合会場など場所が転々とする。演劇の大きな制約は、そこにある物理的な舞台だ。ドラマや映画といった映像作品であれば、その場に行き撮影すれば済むことなのだが、舞台はそうはいかない。動かない。ならどうするか?というのが、ひとつ演劇的なポイントになる。

 私は、カフェだけを舞台にしたらどうなっただろうか?と思う。

 回想シーンも部活も試合も告白も、一切なし。カフェという場所だけで完結させ、登場人物たちの会話や関係性ですべてを描いていく。作中には様々なエピソードや人間関係が盛り込んであるので、そう出来るだけの素地はある。

 そして、重要なことは語らないという決断も必要。

 おそらくこの作品で最も重要な告白は、そのシーンももちろん、結果も描かない。今から告白に行くのだろうということを観客へ匂わすだけでいい。三角関係(四角関係?)だけれど、誰と誰が結ばれるかというのは、それまでの関係性の変化で表せるはず。

 演劇は、観客を信用して観客の想像力を刺激することにより、印象をより深く残すことが出来る。

 もし、そのように本人がそう書き直すなら、もっともっと作品に向き合う必要があるし、演劇についても何かがわかってくるのではないだろうか?もちろん、演劇をわかっている誰かが潤色して、直してもいい。

 しっかりとした台本を演じることで、見えてくることはある。

 ここが新生演劇部の第一歩なのだとしたら、これから良い作品を生の劇場で観て、刺激を受けて、成長していけばいい。県大会も近畿大会も終わってしまったけれど、年度内にはまだまだ様々な演劇部の様々な公演が沢山あるから。

 そして、自分たちの出来ることを信じて欲しい。安易に諦めたりせずに。

flower

  • CAST
    • 蒼井 柊
    • 岡 千尋
    • 1年
    • 藤原春輝
    • 三浦瑠奈
    • 1年
    • 夕月千影
    • 砂川茉由佳
    • 1年
    • 華道明日香
    • 中山奈々葉
    • 1年
    • 松井 奏
    • 岡 千尋
  • STAFF
    • 岡 千尋
    • 演出
    • 演劇部
    • 照明
    • 川岸未来明
    • 2年
    • 音響
    • 武市梨里
    • 3年
    • 舞台監督
    • 上田瑠菜
      前羽 希
      太田早妃
    • 2年
      1年
  • :助っ人

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