『いつかの、夏。』県大会

2012年11月18日(日)@たつの市総合文化会館 アクアホール
幕、閉めたかったなぁ(苦笑)

 舞台は幕が上がるまでわからない。

 一介の観客として観劇した、金曜日、土曜日の観客席。その感想は、“良いお芝居をすれば近畿大会へ行ける”という確証。
 傲慢かもしれないけど、そう感じた。
 当初目指していたレベルのお芝居にはなり得ていなかったけど、まだ可能性は残されている。

 そして、日曜日。

 良いお芝居になるのか、それとも成立しないのか。それが幕開きまでわからない。そんな状態は、今までになかったかもしれません。
 実は一番良い舞台ができたのは、10月28日(日)、午前の通し稽古でした。全員のテンション、想いが一致した瞬間。その再現が、その後の練習でも、支部や県での本番でも出なかった。
 奇跡の瞬間だとは思わない。ただ、緊張感と芝居への熱意が足らないのは確かだったのです。

 だからこそ。
 良いお芝居を演じたいからこそ選んだ、苦渋の決断。キャストチェンジ。それは二人の部員が決意したことでした。もう一人を外す、と。

追いかけては逃げる。ここで観客席より微かな笑いが。

 支部大会から1週間。
 全員が、その一人の意識とテンションを変えようと時間を費やした。けれど、変わらなかった。
 本人が変わろうという努力をしなかった。

 本当はみんなで舞台に立ちたいのに。

 だから、苦渋の決断。
 部外から呼んで、急造のキャスト育成も、1週間では間に合わなかった。もっと時間があれば。

 県大会の本番のメンバーは、支部大会と同じ。
 ベストな形ではあるが、選び方はベストでなかったはず。客演キャストが何とかなっていたなら、そちらを選んだだろうと思える。
 それくらい、そういう事態になっても、その一人は変わらなかった。

しばっちが熱く語るもの。

 結果は優良賞。去年と同じ。けれど、去年と違う。
 我々は、去年の自分たちのお芝居に負けた。
 目指していた近畿大会は、あっけなく散った。

 幕が上がった瞬間、いつもより何故か緊張していたキャスト。観客席にお客さんがいる、このごく当たり前の風景・緊張感に慣れていないからか。
 噛み合わないテンションと、空回りする焦り。焦れば焦るほど、演技は綻んでいく。

 楽しく演技は出来てるかい?

 他校のお芝居と見比べて思うのは、私の書くお芝居は“演技力が要る”ということ。
 台詞ではなく、その行間にある想い、つまりはキャラクターの感情。ただ、言葉を言葉として言うのではない。所作の一つ一つにも意味があって、その意味は、自分たちで見つけていかねばならない。
 それがわかっただけでもこの県大会は意味があったのか?

 もっと良いお芝居ができたはずなのに……。
 そんな想いは、次は何に実を結ぶのだろう。

 もし、部員たちがそこで何かを掴んだのなら、ここで歩みを止めてはいけない。次へと歩み出さないと。

いつかの、夏。

  • CAST
    • 芝田 直之
    • 松下徹哉
    • 2年
    • 中川 夏希
    • 藤代明香
    • 3年
    • 川上 沙緒里
    • 名田みず穂
    • 2年
  • STAFF
    • 鈴木 遊
    • OB
    • 演出
    • 藤代明香
    • 舞台監督
    • 松下徹哉
    • 舞台監督助手
    • 藤代明香
    • 照明
    • 中島穂波
    • 2年
    • 音響
    • 森谷友裕
    • 3年
    • アナウンス
    • 宮下貴江
    • 3年
  • :助っ人
STORY

 2012年8月、夏休み。
 ロンドンオリンピック真っ最中。そんなこととは関係ない高校生たち。いつも通り、部室に集まってきて、はじまるのは他愛ない会話。
 しばっち、夏希、さおりんの、三人の夏のお話です。

パンフレット閲覧には、関係者へ発行するIDとPASSWORDが必要です。