『いつかの、夏。』支部大会
8月上旬に脱稿の予定でした。
それが書き終わってみれば、8月下旬。何故か?前2作は2週間程度で書いていたのに、その倍以上の時間がかかってしまいました。
答えは、「夏の暑さに負けた」です(苦笑)。
その夏休み期間中にも、次回作への意欲が失せ、この作品は、部員たちに託すはずでした。「君たちが頑張らなきゃ意味がない」と。
しかし、気づいた時には私から手を出してました。捨てたはずの作品。でも、捨てきれない。そんな簡単に割り切れるものではありません。そして、ふと見た今年3月の稽古場日記。そう、あの時、私は、もっと前を見ていた。
いつの間にこの熱意を失ってしまったのだろう──。
「良いお芝居をつくらないといけない」
しかし、上手く行かなかった自主公演と、裏切られた夏休み。
今回も上手く行かない練習。
なんで自主公演が上手く行かなかったのか?おぼろげに見えてくる。そもそも練習に向かうテンションが間違っている。それは、部活をするテンションではない。その状況を作っているのは部員自身。その現状を打破しないといけない。
去年はうまく出来たのに、今年はできない。大浜先輩がいないから?
どんよりした辛い練習が続く。
自分から動けない。言われたダメ出しは聞けない。ないないづくし。
このままではいけない、と、初の通し稽古を、実業の演劇部としては初めてビデオ撮影する。それはダメな演技を意識するため。タイムは1時間5分。出来は最悪。
ビデオを見たみんなは、「あんなお芝居観たくない」と大反省。したはずなのに……。2回目の通しでは、それより酷い1時間6分のぐだぐだタイム。しかも、死にそうな状態のしばっちがそんな精神状態から考えられないくらいの演技を見せたのに、他の二人がぶち壊し。これにはこちらもブチ切れる。相手の気持ちをちゃんと汲み取れ!って。
3回目の通し。
通し前に想いを受け取る大切さを伝える。いつになく真剣な、テンションの高い良い練習ができる。
しかし、それが、現時点での最高の出来。
本番ではその片鱗すら見せられない。真剣になれない。何でなの?……怠け癖が染みついているようです。
芝居の上で、ダメだと気づいている人、何とかしようとしている人、けど、ずーっと「私は私」の人。相手の気持ち、この場合、このお芝居に関わった全ての 人たちですが(つまり、観客も含む)、それがわからないでなんでお芝居が出来るのか?何でそんなに鈍感なのか?
もちろん、目指していたのは"まず"県大会。
予定どおりと言えば予定どおりですが、それまでの練習の成果も出ていない──。
もっとレベルの高いお芝居をして、「もう一度、近畿大会へ」。
手の届かない目標だとは思わない。だから、私はそれを明言してる。
良いお芝居が出来るか否か。
それは結局、部員たちの意気込みであって、相手を思う心であって、それ無しには為し得ません。
真剣になれば出来ないわけではない。それはこの2ヶ月でわかったのです。
「今回の公演、君たちが頑張らないと意味がない」
だから、これが最後のチャンスなのかもしれません。
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いつかの、夏。
CAST
- 芝田 直之
- 松下徹哉
- 2年
- 中川 夏希
- 藤代明香
- 3年
- 川上 沙緒里
- 名田みず穂
- 2年
STAFF
- 作
- 鈴木 遊
- OB
- 演出
- 藤代明香
- 舞台監督
- 松下徹哉
- 舞台監督助手
- 藤代明香
- 照明
- 中島穂波
- 2年助
- 音響
- 森谷友裕
- 3年助
- アナウンス
- 宮下貴江
- 3年助
- 助:助っ人
STORY
2012年8月、夏休み。
ロンドンオリンピック真っ最中。そんなこととは関係ない高校生たち。いつも通り、部室に集まってきて、はじまるのは他愛ない会話。
しばっち、夏希、さおりんの、三人の夏のお話です。
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